観察という悪癖
飲食店に入った時、僕は必ずと言っていいほどカウンターを陣取る。それも正面ではなく、横がある場合は横のカウンターに。
これは僕の癖が原因している。
バックヤードやカウンター下の本来客に見られることを想定していない場所を見ることが好きという癖。
普段見られることを意識していない場所にはその店の性格が出る。と思っている。
なんか飲食店の良し悪しを判断するには、バックヤードのゴミ箱や床がいかに綺麗に保たれてるかで判断せよ!みたいなことも聞いたことあるしきっとそうなんだと思う。
でも個人的に異議を唱えるとすれば、一見乱雑で汚く見えようとも、オペレーション最適化された配置である場合は例外なのではと思う。
飲食店は味はもちろんのこと、雰囲気や、スピードも求められる厳しい戦場。
年々客は図々しくなり、ワンコインで三つ星ホテルレベルの応対を求める。調子に乗りすぎである。
そんな戦場ではいかに仕事を効率よくこなし、心に余裕を持って働くかが重要になるのではないかなと思う。
だからこそ客から見えない部分では、見え方よりも使いやすさを重視されるのだろう。
そんな見られることを意識してない部分を見た時、その店の核を覗いたような気分がする。カウンター下に貼られたメモや、店員の使うコップなど見えるとたまらなく愛おしく思う。
ここまで書いていてだいぶ歪んだ癖だなとは思ったがまあもう取り返しがつかないのでしょうがない。
この癖で留めて置けたらよかったものの、この裏側を覗く癖はこれに留まらない。
人と会話してる時に、その人が一瞬覗かせた癖や表情を捉えた時、自分の中でその人との壁が減ったように勝手に思ってしまう。
こうやって観察を続けると、その人の発言の建前と本音がなんとなくわかるようになり、会話はスムーズになったりするが、たまに暴走して勝手に脳内で会話を進めてしまい、訳の分からない返答をしてしまうことがある。完全に悪癖。
そんな異常者であるが、他人にはまだ伝わっていない。
こんな悪癖があることを他人に悟られないように今日もまたカウンター下を覗き込む。
コーヒーが美味しい。